相続は面倒くさい。高齢になると役所に何度も行ったり、書類に目を通したりすることが大変です。頼りの子どもたちは、仕事が忙しかったり、生活に追われていたりで、なかなか時間が取れないのが現状です。相続手続きを終わった方からよく「人、一人亡くなると大変」だという言葉を聞きます。最愛の家族を亡くされ、精神状態も安定しない中で、煩雑な手続きをしなければなりません。私も、母親が亡くなったときに、高齢の父親は精神的に落ち込み、全く何もできない状態でした。そのとき父親が、「一人だったら何もできない」と言っていたのを思い出します。このように100種類以上もある大変な手続き、一体どのような手続きがあるのでしょうか。
<必須の書類>
- 生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
この3つを基本的に準備して、「手続き先の所定の用紙」や「遺産分割協議書」に実印を押して、相続手続きをすすめていきます。ただし、様々な理由があり多くの手続きが必要になります。例えば、相続人のなかに認知症の方、未成年者、行方不明の方等の場合もあります。また、故人の方が多額の借金をしていたり、様々です。以下、代表的な手続きのフローは次のようになります。
- 遺言書の有無の確認理由
- 相続人の確認
- 相続財産の確認
- 遺産分割協議書の作成
- 各種手続き・税務申告
※相続放棄するためには、自己のために相続を開始があったことを知った日から3か月以内です。
※税務申告は、相続の開始を知った日(通常は故人の死亡日)の翌日から10カ月以内に行うことになっています。
それでは、高齢の親が亡くなった場合、上記5の主な手続きの種類をみましょう。
<役所関係への手続き>
- 死亡届の提出
- 死体火葬許可申請書の提出
- 世帯主変更の提出
- 印鑑証明カード・マイナンバーカードの返却
- パスポートの返却
- 運転免許証の返却
- 後期高齢者医療被保険者証の返却
- 介護保険証の返却
- 身体障害者手帳等の返却
- 高額療養費の請求
- 高額介護サービス費の請求
- 葬祭費の請求
- 遺族厚生年金等の請求
- 未支給年金の請求
<金融機関への手続き>
- 預貯金口座の解約
- 貸金庫の解約(貸金庫の解約を先にしないと銀行口座の解約ができない)
- 出資金の払戻
- 有価証券等の名義変更
- 端株・未電子化株式、未収配当金の受領
- 生命保険会社へ保険金・給付金の請求
- 自動車保険の名義変更や解約
- 家屋の火災保険等の名義変更や解約
<税務署>
- 相続税の申告
- 所得税の準確定申告
- 医療費控除の還付請求(税金)
<陸運局>
- 自動車の移転登録
- 軽自動車の名義変更は、軽自動車検査協会
<法務局>
- 不動産の名義変更
<各社>
- 借家・借地の名義変更
- 賃貸住宅の名義変更
- 電気・ガス・水道の名義変更
- 衛星テレビやケーブルテレビの名義変更や解約
- 動画配信サービスの解約
- NHKの名義変更
- 携帯電話の解約
- クレジットカードの退会
- 電子マネーの解約・名義変更
- デジタル遺品の整理
- スイカ等(IC乗車券)の解約など
<まとめ>
このように亡くなると多くの手続きが必要となります。しかも提出先がそれぞれ異なり、高齢者にとっては重労働です。出来る限り子どもや孫等が協力して手続きをすすめるか、もしくは、専門家に依頼することも検討してみてはどうでしょうか。